2023年2月に行われた桐朋中学校の入学試験問題について研究しました。今回はその2回目です。
●1回目、2回目の問題構成は共通
前回に引き続き、桐朋中学校の国語の入試問題研究を行います。
今回は国語の2回目の試験について見てみました。
前回も小見出しに書いたとおり、1回目同様、長文読解問題が2題で構成されていて、1題が小説、もう1題が随筆です。
以下で詳しく見ていきましょう。
●ポイントになるのはやはり表現力
大問の1の出典は、浅井まかての小説「ボタニカ」からです。
受験生にはなじみが薄い明治の言葉遣いで書かれている文章なので、この頃の作品を読み慣れていないととっつきにくいかもしれません。最近は大学受験生でも明治の言葉で書かれている文章は苦手としているらしく、作問者が明治の文体の作品を素材文とするのを避けているという話しを聞きます。
小問11題で構成されていて、そのうち7問が選択肢の中からふさわしいものを選ばせる問題です。登場人物の心情を問う問題が中心ですが、紛らわしい選択肢はありません。
さらに問四と問九も登場人物の心情を問う問題で、自分の言葉で説明するように求められます。
文中で祖母は小学校を退校して学問に専念するという富太郎を咎め立てするようなことは一切なく、あまつさえ富太郎の欲しがる帳面と小筆を喜んで用意しようとさえします。問四はそのとき「目尻に柔らかな皺を寄せた。」祖母の気持ちを説明することを求められます。
本文中には孫に対する祖母の気持ちを表した記述はなく、富太郎の気持ちとして「祖母様とはかくも気が合う。」と表されているだけです。したがって、読み取れる祖母の気持ちを完全に自分の言葉で綴らなければなりません。表現力が問われるところです。文中から読み取れるのは祖母が富太郎のやりたいことを積極的に応援したいという気持ちです。わたしだったら「学問を志したいという孫の希望を叶えてやろうという気持ちを持っていて、家族で孫のお祝いが出来ることに喜びを感じている。」とするでしょう。祖母が孫を見守る温かい気持ちを読み取りたいです。
問九は知識を身につけたいという欲求は、自然の中に分けいっていく感じに似ているという文章と、それに続く比喩についてわかりやすく説明せよという問題です。
解答に「一つわかればさらにその先が知りたくなり、そこに辿り着けばさらに行きたい場所ができる。」という富太郎の思いを表した部分を取り入れることにはすぐに気づくでしょう。後は、自分の言葉でどうわかりやすく説明するかです。それが一番悩むところですよね。知的好奇心のことを行っているのはわかると思います。「もっと知りたいという欲求は尽きることがなく、一つわかればさらにその先を知りたくなり、まだ見たことも経験したこともないような世界がどこまでも広がっていくこと。」というような説明します
●出題された文章から読み取ったことを自分の言葉で書く
大問の二の出典は、二宮敦人の「特に秘密、ありません」からです。
問二、問四は本文中から抜き出す問題で、それほど迷わず答えられると思います。
問六は筆者の考えを読み解かせる問題ですが、選択肢が用意されていて紛らわしいものはありません。
問五と問七がわかりやすい説明を求められる問題で、作者の考え、心情を自分の言葉で説明しなければなりません。しかも、解答用紙の解答スペースも大きく取られており、8割から9割程度埋めることを考えると、採点者に伝わるように丁寧に説明する必要があります。
問五は問題の傍線部、「ちょっと息がしづらかった。」の前、「普通じゃない嘘もたくさんついたし、隠したいものをたくさん持っていた。」という箇所を取り入れ、筆者がどう感じていたかを答えます。「みんなができることができず、みんながやらないことをやっているのを知られたくなかったため、たくさん嘘をつき、隠すようにして生きてきて苦しかった。」嘘を嘘で塗り固めて、自分をすっかり覆い隠して生きていくのは苦痛だったということですよね。
問七は作家になって筆者の中から「秘密」がなくなった理由を問われています。わたしは次のように解答を作ります。「作家は普通である必要がないようで、まわりの人たちは小説さえ面白ければありのままの自分を受け入れてくれるので、本当の自分を隠す必要がなくなったから。」。「本当の自分を隠す必要がなくなったから」のところをどう書き表すかで表現力に差が出ます。
●桐朋中学校受験の方へ
桐朋中学校の国語の入試問題を2回にわたって見てきましたが、本校が解答を自分の言葉で書かせる問題に重点を置いているのは明らかです。採点が難しいのは承知の上で、そこで受験生の質を見極めたいという意図が見て取れます。本校を目指す方はそのための訓練に力を注ぐことをお勧めします。
桐朋中学校のホームページを見ても、応募者数977人中、234人が1回目、2回目の両方に出願しているようです。問題を見ても、傾向は同じですし、レベル的にも揃えようという出題者側の配慮が感じられます。本校を目指す方は、両回を受けることを検討されたほうがよいと思われます。
1回目の入試研究に書いたとおり、文章表現力を身につけることが本校の入試対策には一番効果的だと思われます。そのための訓練を積み重ねるようにしましょう。指導要領の一つの柱ともなっているので、本校受験だけでなく、他の学校を受ける際にも求められる能力です。必ず身につけておきましょう。